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へべれけ

ゲームとDTMと本と煙草と酒と泪と男と女

救われない、反吐まみれのクソみたいな世の中だからこそ、ご飯の時ぐらいは幸せでいたい -アサウラ 「デスニードラウンド ラウンド2」-

どこかで見たことあるようなマスコットキャラクターたちとのゴキゲンな銃撃戦を繰り広げるラノベ第2巻。

親の借金のカタに傭兵チームに売られたことで学校ではあからさまに避けられるようになった主人公ユリだが、チームリーダーである松倉の友人の娘で台湾から来たスナイパーの少女「美鳳」(どっかの格ゲーに同じような名前がいたような)と邂逅し、前回のワック絡みで出会った先輩とも友人関係を築けるようになった。
一方で傭兵としても前回のロナウダ戦で修羅場をどうにかくぐり抜けたおかげか精神的にだいぶ成長が見られる。ポンコツだが先輩である大野に対しもズケズケとものを言うようになっていた。
新しい友人とも出会い、任務も順調にこなして借金も着実に減らしていくユリだが、今回のお相手はよりにもよって、天下の桜田門。警視庁のマスコットのP君。どうみてもピーポ君です本当にありがとうございました。その公僕の一員であるはずのP君がどういうわけかユリの友人を襲撃するところから物語が動き始める。

そもそも「デスニードラウンド」での日本の社会状況は一体どうなっているのか、具体的にはわからない。北海道が独立を図ろうと内戦し(結果はどうなったのかも明言されていない)、また栃木と群馬間で紛争が起きたという過去がある。どういう理由で県同士の紛争が起きたのかも説明されていない。
少なくとも、現実の日本よりはかなりモラルや安全保障といった面に問題のある状況だ。前回のようにロナウダのような改造人間をワックというハンバーガーショップである一企業が作り上げ、そのロナウダを競合他社が武力で排除しようと松倉たちのような傭兵に依頼するような現代日本だ。
そして今回はPくんのような生体兵器を警察という組織が作り上げている。まともであるはずがない。
銃撃戦の傍で現代日本の日常が横たわっている。ユリがライフルを掲げている傍で他のクラスメイトが普通の高校生活を送っている。その対比は悲哀すら感じられる。
世界観やら登場人物やらそこかしこに狂気が見えるけど、その下地になっている化け物たちを含めた彼らの背景はハイテンションながらも反吐が出そうなほど昏いものがある。
あるいはその昏いものを多い隠すために、狂気を繰り広げているのかもしれない。

さて警察が相手となっては松倉たち傭兵もうかつに手を出せない。というのも松倉たちが仕事にあたる際は警察にいくらか握らせる必要があるからだ。
友人を救うため松倉にP君撃滅の協力を懇願するが拒否されたユリは、たった一人でP君に立ち向かうことになる。
1巻ではなし崩し的に金銭のために戦うことにしたユリだが、今回では友人のために戦うと決意を固める。
世のため人のため社会貢献を目的として働くサイコパスもいる一方で、笑いながら人を撃つことを業務とした気のいい兄ちゃん姉ちゃんもいる。ユリの決意が結局武島を突き動かすことになるんだけどね。

ちなみに1巻では挿絵と暗に存在が囁かれていた強化外骨格「ギア」も満を持して武島が引っ張り出してくる。
それと、今回は仄めかせる程度だけど、ついに浦安のアイツとその背景であるテーマパーク「デスニードラウンド」がチラつくようになるよ。ハハッ!

守りたければ戦うしかない。救われたいのなら戦うしかない。
理不尽に降りかかった受難を理不尽と叫んでも誰も助けてくれない。
なぜなら敵や受難というものはいつだって理不尽の形をしているから。
座して死を待つつもりなど無い。
例え、友の命であろうとも。

しかし、サンマが食べたくなるラノベだった。もちろん七輪と大根おろしも忘れちゃいけない。

デスニードラウンド ラウンド2 (オーバーラップ文庫)

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